日本の多文化共生の現状と問題

多文化共生という言葉を耳にする機会もグローバル化の進行や日本を訪れる外国人観光客、所謂訪日観光客の数の増加に伴って増えてきたのではないかと思う。しかし、この「多文化共生」という言葉はどのような意味を持つのだろうか。もちろん例外はあることと思うが、多くの場合において多文化共生という言葉は「国籍や人種、民族や信仰する宗教の違いに起因する文化的な差異を認め、お互いがお互いのことを認め、対等に生きていこう」という範囲内で解釈されることが多いのではないかと思う。

多文化共生とはそもそも何を指すのか

 実際に、国土交通省『北関東圏の産業維持に向けた企業・自治体連携による多文化共生地域づくり調査報告書』では、多文化共生を以下のように定義づけしている。

「多文化共生」とは「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的な違いを認め、対等な関係を築こうとしながら、共に生きていくこと」

すなわち、在住外国人を日本社会の構成員として捉え、多様な国籍や民族などの背景を持つ人々が、それぞれの文化的アイデンティティーを発揮できる豊かな社会を目指すことを指している。

  • なぜ多文化共生が必要なのか

図1は日本政府観光局による年別訪日外客数の推移を表したグラフである。このグラフから、日本を訪れる外国人の数は、中国で発生した新型肺炎ウィルス感染症の影響によって2020年においては昨年に比べて大幅な減少傾向にあるが、当感染症の発生以前、2019年には過去最多の31,882,049人を記録するなど、年々増加していることが読み取れる。

年別訪日外客数の推移(日本政府観光局出典)


この状況下を考えれば「多文化共生」という理想を抱き、「各人が各々の文化的差異を双方向において認め合い、共に生きる」というようなことが社会の中で広く叫ばれるということも理解することができる。

しかし、この「多文化共生」が必要不可欠であるのはなぜなのだろうか。それは単純で日本に滞在している外国人と共生ができておらず、それに関連して様々な問題が生じているからである。多文化共生ができていないから、多文化共生を行う必要があるというシンプルなロジックである。

日本で起きている様々な問題

では、具体的にどのような問題が日本国内において発生しているのであろうか。すべてを数えあげ、列挙することは不可能であるため代表例を数点列挙するならば、イスラム教信者が口にすることを許容されている(ハラル)材料で作られた食品であるハラルフードの数の少なさ、礼拝所の少なさ、などはすぐに思いつくことであると思う。また、在日外国人の子供の教育問題や、治安の問題、医療や社会保障といった問題ももちろん存在している。これらの問題が現に生じているがゆえに、多文化共生が必要だと叫ばれるわけである。

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